催眠療法に関して②(治療の流れを知るための参考書)
催眠療法に関する著書
とりあえず催眠療法を受けてみたいけど、どんなことが出来るのか分からない、という方に、まず本を読んでみることをお勧めします。
料金を調べてみると、現在の催眠療法の相場はおおよそ1時間7000円~1万円となっているようです(記事掲載時、2015年)。
代替医療のため、治療を受けるにしても保険適応の診療に比べると高額です。
また多くの本が出版されているので、購入を検討される方は、まずは図書館で借りて内容を確認することをオススメします。
様々な専門書は都市部の図書館で所蔵されているので、お住まいの自治体で所蔵されていなくても、リクエストして取り寄せて下さい。
※うつ状態が強い場合、返却予定日までに返却することが難しい場合もあります。その場合は、購入されたほうが良いかもしれません。また本をご自分で読むのも難しくなっている場合は、今は無理せず、ゆっくりしてください。
1)「私の声はあなたとともに」:シドニー・ローゼン著
ミルトン・エリクソンの弟子にあたる シドニー・ローゼンによる、エリクソンのクライアントとの対話をまとめた症例集。下記の催眠療法に関するものとは違い、この本は童話を読むことで多くの気づきを得られるような一冊です。シドニー・ローゼン自身が得た、多くの学びも書かれています。
私の声はあなたとともに―ミルトン・エリクソンのいやしのストーリー
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2)「自分をとりもどす 魔法の言葉」:ヴァレリー・オースティン著
交通事故を起した著者は、そのショックから重度の記憶障害に苦しみました。約2年半ほど周囲から理解されずに辛い時期を過ごします。そして催眠療法によって無事に回復したのですが、その経過についても掲載されています。その後、自らも催眠療法士になり、現在多くのクライアントを受け持っています。以下、本文より抜粋。
記憶障害が誘発したトラウマを(著者自身が)数々と経験していることで、クライアントのかかえる問題にも抵抗なく共感できました。...…最先端の催眠療法テクニックを使うと、人生の表面的な問題を飛び越えて、原因となるトラウマの核心部へと直接アプローチすることができます。
自己催眠用に不眠症、禁煙、体重管理などを克服するための暗示文と催眠療法を用いた様々な症例も紹介されています。
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3)「あなたにもできるヒプノセラピー--催眠療法」:A・M・クラズナー著
米国催眠療法協会の創立者である A・M・クラズナー博士の著書。催眠療法に関して、とても分かりやすい文章で、読みやすくまとめられている一冊です。
催眠療法では、トラウマとなった問題を見つけ、対処するために「年齢退行」という手法を多くの場合で行います。それに関して、本文より抜粋。
年齢退行とは、過去の出来事を再点検するための催眠である。潜在意識は思考・感情・場所などすべてを記憶している。
退行することで、現在の問題の原因を探り出し、古い行動パターンを変え、新しい思考態度を定着させるのに効果があります。
様々な自己催眠に用いる暗示文も掲載されています。
********* そして、ここからスピリチュアル *********
4)「前世療法」シリーズ :ブライアン・L・ワイス著
重度の精神障害に苦しむクライアントに対し、年齢退行をはじめとする催眠療法を得意としていたDr.ワイスが治療に取り組みます。しかし、一向に回復する気配がないクライアントに、困り果てたDr.ワイスの「あなたの症状となった時までさかのぼりなさい」という指示に対して、クライアントが前世までさかのぼるという症例本です。
バリバリの左脳派で、論理的思考を好み、目に見えていない世界など信じていなかった著者が、やはりどうしても世に出して知らせなくてはいけない、と発表した本です。
ここで大切なことは、著者自身も本の中で述べているのですが、クライアントも催眠療法士も、スピリチュアルなものを信じていなくとも、催眠療法を体験することで、何かに気づき、物事の捉え方が変わり、意識が変わるので治療が成功します。
*前世療法:退行催眠を施し、症状の問題となっている原因が過去生にあり、治療を行う場合に この表現を使っている。
*インナーチャイルド・セラピー:退行催眠を施し、幼少期のトラウマが原因となって症状を引き起こしている際に行う治療。
前世療法―米国精神科医が体験した輪廻転生の神秘 (PHP文庫)
前世療法―米国精神科医が挑んだ、時を越えたいやし〈2〉 (PHP文庫)
魂の伴侶―ソウルメイト 傷ついた人生をいやす生まれ変わりの旅 (PHP文庫)
上記以外にも著書があります。様々な症例と、学びについて記載されています。
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5)過去生セラピー:ネビル・ロウ著
上記と同様に過去生ワークについても記載されている本です。著者は他界してしまっているのですが、過去生セラピーに関して、こう述べています。
過去生に関して理論的な面での疑問を持つ人は大勢います。...…このワークの真の価値は、過去生や輪廻についての概念を理解するためではなく、それによって生ずる結果があるからです。
過去生ワークは、自分自身について、より深く知るための手段です。
私たちは自分について知りたくない部分があると、絶えずそれを奥深く抑え込んで生きています。否定的だと思われるようなことが表面化するのを恐れています。
しかし、それはまさに私たちの人生の一部なのです。ちょうどコインの表と裏みたいなものです。
否定的な側面をずっと心の中に押しこめ続けていると、それは影の部分から私たちをコントロールすることになってしまいます。
私たちはその否定的な側面も抱きしめ、受け入れてあげる必要があります。
過去生ワーク以外にも自分を解き放っていく手段は多くあります。解放するために直接の原因を知ることは絶対不可欠というわけではありません。
ただ、ほとんどの人が「なぜそうなのか」という理由を発見したときに、それを手放しやすくなります。その方法のひとつが過去生ワークなのです。
症例とスピリチュアルなことに関する質疑応答が多く記載されています。
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梨木果歩さんの「ピスタチオ」という小説に、下記のような文章があります。
「死者には物語が必要だ」
死者には抱いて眠る物語が必要なんだ。
おそらく、私たちも同じです。患者は何故、自分がその病になったのか、納得できる物語が欲しいのだと思います。人生はその人を主人公とする物語です。その物語をサポートする物語を知ることで、捉え方が変わり、生きやすさに繋がっていくのかもしれませんね。
自己催眠に関して
上記の本に紹介されている自己催眠の暗示文の種類について まとめます。
セラピストにより誘導され催眠下で行う治療や、暗示による目標達成(アファメーション)は、潜在意識にアプローチしやすく、成果を得られやすいのですが、やはり代替医療のため高額です。
ボイスレコーダーなどを使い、自分でやってみたいという方におススメです。
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上記2冊にはダイエット・各種恐怖症(飛行機恐怖症、高所恐怖症など)・勉強・赤面症などコミュニケーションに関するものなど様々な暗示文が掲載されています。暗示文を参考にして自分で作成しても良いそうです。
こちらの本には、気分をコントロールするための瞑想法や、自分の内面に落ち着きを取り戻すための暗示文が多く記載されています。
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(余談)
私は催眠療法をセラピストのもとで受け、回復の大きな一歩に繋がりました。
自分を催眠療法に導くきっかけとなった、Dr.ワイスの本には衝撃を受けました。この本に出会ったのは、およそ十年前になります。読了後、催眠療法を受けてみたいと思いましたが、それを行動に移したのは約一年前。もっともっと早くにセラピーを受けていればと後悔しています。
また、私はうつ病を発症後に記憶障害やパニック障害も起こしていたため、ヴァレリー・オースティンの本を読んで、著者に大きく共感しました。
催眠療法により うつ状態から大きく回復しましたが、思考の整理をして自分をコントロールする方法も同時に行っています。
この記事にも書きましたが、本当に書くという作業はお勧めです。
そして体力も必要です。歩こう!外へ出て新鮮な空気を吸いに行こう。
話はそれますが、恋愛ものの話(症例)として、Dr.ワイス著の「魂の伴侶」はとても面白かったです。これが実際に起こったことだというのが素敵ですね。ただ、多忙な著者は、かなり鈍いなと思ってしまいました。