催眠療法について① (よくある誤解と仕組みについて)
催眠に関する誤解
まず最初に。
「催眠」という言葉は誤解を受けやすいです。何それ、あやしくない?などというイメージを持つ人も多いでしょう。例えば、芸能人が動物などになりきって行動している映像を思い浮かべる人が多いのではないかと思います。
催眠という言葉は、ギリシャ語の「眠り」という言葉を由来とし、「Hypnotic(ヒプノシス)」という言葉が使われています。そのため、催眠療法のことを「ヒプノセラピー」と言います。
この「眠り」という言葉が紛らわしく、大きな誤解を受けやすくなりました。(催眠状態は眠っている状態ではないのです。)
催眠状態では「誘導者の暗示(質問・指示など)」よりも、必ず「自分(クライアント)の意思(選択権)」が勝ちます(優先します)。
催眠中の暗示には本人の同意が必要なため、好ましくない暗示を受けた場合、クライアントは断ることが出来ます。
また、催眠中は目をつむってはいるものの、普通に会話をし、意識がはっきりしているので、クライアントの意思で催眠状態を解除することも出来ます。
催眠中に与えられた言葉に従うか否かの意思決定はクライアントが行います。
(例えば、逆立ちをしてください、という指示に対して、嫌ならしなくて良いんです。同じように、言いたくないことも言わなくて良いんです。)
*催眠とは:睡眠とは異なり、空想に似た、意識の研ぎ澄まされた状態のこと。
( 自分をとりもどす魔法の言葉―ひとりでできる催眠セラピーより)
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催眠療法の仕組み(顕在意識と潜在意識)
人間の意識というものは、現在あなたが意識している意識(顕在意識)と無意識(潜在意識)というものに分かれます。
その割合はどの程度だと思いますか?
A・M・クラズナー博士の著書や他の催眠療法に関する著書によると、「顕在意識:10%、潜在意識:90%」の状態で、潜在意識には感覚的な印象と記憶がすべて保管されているそうです。
あなたが、今 困っている症状の原因となった出来事にアクセスし、顕在意識に蘇らせることで、論理的にその症状を克服できるよう治療していきます。
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この顕在意識と潜在意識の間には「フィルター」のようなものがあります。
それは、潜在意識に蓄えられた必要のない記憶(情報)が出てこないよう、蓋をしておく役割をしています。
(過去に学んだ 様々な記憶の情報量を制限して、普段 私たちがするべき行動をスムーズに行えるようにしています。)
そして、催眠療法ではこのフィルターのロックを緩めて、本人が気が付いていない過去のトラウマに対処したり、暗示を入れやすくして目標達成のサポートをします。
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この催眠状態を、実は誰でも日常生活の中で体験しています。
例えば、映画鑑賞中や読書中、海や空を見ているときなど、我を忘れて集中・熱中しているとき、空想中などは、浅い種類の催眠状態なんです。
よく空を眺めていて「ポン」っと過去の記憶が飛び出してきたりするのは、このためです。
また、勉強中なども、集中していると記憶が入りやすかったりするのも、浅い催眠下にあるためです。
さらに深い催眠状態に入ることが出来ると、過去の記憶の再現力は強まり、より鮮明に思い出すことが出来ると言われています。
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〈参考図書〉
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