ことばのちから(辻征夫ver.)
蟻の涙 辻征夫
どこか遠くにいるだれでもいいだれかではなく
かずおおくの若いひとたちのなかの
任意のひとりでもなく
この世界にひとりしかいない
いまこのページを読んでいる
あなたがいちばんききたい言葉はなんだろうか
人間と呼ばれる数十億のなかの
あなたが知らないどこかのだれかでななく
いまこの詩を書きはじめて題名のわきに
漢字三文字の名を記したぼくは
たとえばこういう言葉をききたいと思う
きみがどんなに悪人であり俗物であっても
きみになかに残っているにちがいない
ちいさな無垢をわたくしは信ずる
それがたとえ蟻の涙ほどのちいささであっても
それがあるかぎりきみはあるとき
たちあがることができる
世界はきみが荒れすさんでるときも
きみを信じている
〈引用図書〉
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ちょっと一息:作家 パウロ・コエーリョから学ぶ
作家になる夢を追うために払った代償
パウロ・コエーリョという作家をご存じでしょうか。1947年生まれのブラジル人作家であるコエーリョは、幼いころから「作家になりたい」という夢を持ち続け、他の人が真似できないような人生を生きてきました。
まず、作家志望の息子を両親は精神病院へ入院させました。息子に弁護士になるよう望んでいた両親は、収入の安定しない作家(や演劇など芸術方面)を目指そうとするコエーリョを理解することが出来なかったのです。「彼は狂っている」と。
(もちろん狂ってなどいなかったし、他に適当に入院できそうな理由を作って入院させました。)
何度か病院を脱走し放浪を重ね、そして家にたどり着いたときには、彼は友人や職を失い、夢も断念し、精神的に追い詰められていました。そして、コエーリョは思い出の詰まった自分の部屋を壊します。その時、偶然 駆け付けた医師が彼を救いました。すべてを壊したコエーリョに対し、こう言ったのです。
“すべてを木端微塵にした今、君はようやく新しい人生を始められる。君は紛れもなく自分がすべきことをしたんだよ。新たなプラスの人生を始めるために、マイナスの過去をぶち壊すというね。”
“君は自分がするべきだった、ただ一つのことをやってのけたんだ。過去の悪夢を断ち切るというね。今、君の人生は新たに始まったんだ。”
その医師のもとに通院するようになってから、コエーリョは自分を取り戻します。そして、最終日に次の助言を貰いました。
“ここから先は自分自身の足で歩いて行かなきゃならない。もう君はほとんど治っているからね。確かに君は少しは狂っているかもしれないが、それは、私たちだって皆同じだよ。”
コエーリョがコエーリョらしいのは、この助言を貰ってこう考えたそうです。
“少し狂っているくらい何でもない。いずれにせよ、人は誰しも自分の狂った部分に立ち向かわなければならないんだ。自分を成長させるために必要なことをどんどん経験し、精一杯生きなければ。もはや失うものは何もないんだから。”
その後のコエーリョは本当に他者が真似できないような人生を歩みます。作詞家、黒魔術にハマり、...。以下略。現在では信仰深い道を歩んでいますが、ここまで様々な体験をし、また多くの人を勇気付けるメッセージを送っているコエーリョから学ぶものは多いです。自分を見失いそうになったからこそ、多くの人の心の中に入っていく言葉を残せるんだと思います。
以下、「マジカル・モーメント」より
“さよならを言う勇気があれば、人生は新しい出会いで報いてくれるだろう。”
“人生はその最高の輝きが現れる前には必ず危険な場所を通り過ぎねばならない。”
“自分の傷を癒すには傷と直面する勇気が必要だ。”
“痛みは一時的なものだ。あきらめたら、それで終わりだ。”
“忘れてはいけない。夕焼けが美しいのは雲があるからだ。”
“あなたの傷を誇りに思いなさい。それはあなたが生きる意志を持っていることを思い出させてくれる。”
“あきらめるな。ドアを開けるのは、普通、キーホルダーの最後のカギだからだ。”
“人生について考えるのをやめて、人生を生き始めなさい。”
他にも、あなたに合った言葉に出会えるかもしれません。もちろん繊細だけど、かなりのタフさを持つ大きな根を張る木のように、再生力のある人になるかもしれませんね。
転ぶななんて言わないけれど、転んだら立ち上がれる人に。そして、再び歩き出せるように。
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〈今回の参考図書〉
「マジカル・モーメント」はツイッターでコエーリョが呟いたものをまとめたものです。文字数が少ないので、読みやすいと思います。まだ、ちょっと文章を読むのがキツイという方にいいかもしれません。
参加しています
靴の中の小石
私がいつも心に引っかかって、とれないで、モヤモヤしている過去のこと。
それらは本当は自分の意思で、意図も簡単に乗り越えられるものなのだろう。
たとえば。
足の指先に当たって、小さな痛みを与えてくる、靴の中の小石のように。
ほんの少しの手間はかかるけど、立ち止まり、靴を脱いで小石を出してしまえばいいのに、なぜか億劫で仕方がない。
出してしまえば、あまりにも小さな その小石に、自分の感情の多くを支配されていたことに気が付く。
囚われているものの小ささに気が付くのは、取り出した後なのだ。
心の中の小石に囚われて、今という時間の中にあふれる多くのものを見逃してしまわないように。
今という時間を十分に味わえるように。
薬に関して思うこと (特に 闘病中の方へ)
むしろ感情のコントロールが難しい
うつ状態が強いと、感情そのものが湧かなくなってしまいます。そこで、私は数種類の抗うつ薬を処方されていました。激しい落ち込みなど、ある程度 症状が落ち着いてからは、一種類のものを低用量、長期間にわたり服用していたんですが、抗うつ薬を服用しているときは感情のコントロールが難しかったように思います。
イメージしてください。それぞれの感情の鉄でできたボリューム・バーがあるとします。(写真は鉄じゃないけど)
これが下がり気味、もしくは上がってこない状態が うつ だと思ってください。そこで、投薬により各バーが出やすいように、全てのバーに油を差します。ここで、各種の感情が上がってきた際のコントロールが少々難しくなります。どの感情も以前は出にくかった分、ちょっとアクセルを踏むとスピードが出すぎちゃう車のように、感情が出すぎて過敏になるんです。
このコントロールが難しいので、逆に気分が沈んだり、そのことに関して心を痛めていました。
もし、可能でしたら、ご友人・ご家族など親しい方に薬の副作用で感情のコントロールが難しいんだと伝えてみてくださいね。また、自分に合った量で、自分に合う種類を医師と相談しながら決めていってください。
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これだけは、やらないで!
私は 闘病開始した当初、うつ病を知ろう・理解しようと精神疾患に関する違いや投薬治療に関して調べました。本当にただのうつ病なのか、診断は間違っていないのか、薬は本当に自分に合っているのかなど調べまくりました。これは時間の無駄です。調べれば調べるほど、違いが分からず不安になってくるものです。そして薬は症状を軽くするためのものです。治すためのものではないのです。
そして下記の過去記事にも書きましたが、薬を服用する前、もしくは数年間も治療に時間がかかっている際は他の医師の助言も聞いてみてください。
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私は、薬の量が減ってから数年経ったころ、投薬なしで経過を見たいと当時の医師に相談しました。けれど、それでも薬を処方され続けたので、飲まない選択を途中でしました。(無謀なので、マネしないでくださいね!)その前の数年間はごく少量の薬しか処方されていなかったにも関わらず、かなりの依存体質になっていたため、不安になった際にやたらと薬を「飲みたくなる」時期がありました。でも、肩こりなどの症状は葛根湯で十分だと思い、症状が気になる時には代用していました。今でもその医師から離れたことは後悔していません。その後、ある程度 時期を置いてから、別の医師に相談したところ、本人の意思を尊重し投薬に頼らないで済むようになりました。
どの医師、どんなサポートを受けていても、結局大事なのは自分で自分を知ることです。ありのままの内面をあなたが受け止めることだと思っています。そのためにはリハビリワーク1~3を繰り返してみてください。
状態が良くないと自己判断が出来た際は、思う存分休んでください。堂々と休んでください。休む時は堂々と。そして失敗しても堂々と。そんな時もあります。そんな一面も自分にはあるんだと受け入れてください。「出来ない」ことに心を痛めているでしょう?そんな時は、それを「やらない」ことを選んでください。堂々とね!
体調が良くても、出来ない時はあります。体調が良くても出来ないことなんて沢山あります。ただの人間なんですから。何故だか、そんな自分を責めてしまいやすいんですよね。
参加しています
ブログを始めようと思ったわけ①
ブログを始めようと思ったわけ
私がうつ病を発症しているかも、と自覚したのは大学4年の時でした(当方6年生の大学出身)。極度の不眠と疲れから始まり、上手に眠れていないので、勉強にも支障が出てきました。「眠れない」「やる気がおきない」「集中力の低下と焦り」などを感じながら、でもいつか良くなるんじゃないかという期待を持ちながら何の対策もしませんでした。長期休暇で自宅に帰省の際には、仏壇の前でご先祖様に対して「お願いですから、やる気をください。やる気が起きません」とお願いしていました。そして、枕を変えてみたり、アルコールの力を借りて寝ようとしたりと、悪循環のループに突入していました。
あの頃の不安で仕方がなかった自分が知りたかったこと、自分に読んでほしいと思う記事を書いていこうと思います。
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どんな性格?
あなたはどんな性格ですか?私は「まじめ」「気にしやすい」「考え込んでしまう」タイプでした。そして「人として正しくありたい(出来ていたかどうかは別として)」とか思ってしまう人でした。特に気分転換は下手(思考の切換えが下手)で、今でも気分を引きずりやすいです。特に人からの評価を気にしすぎてしまう、周囲の影響を受けやすく、感情のコントロールが上手く出来ない人でした。だから、クタクタでした。
しかし、この病の特徴は「そういったところを、程々にしていくこと」「極端さをバランスをとっていくこと」を学んでいくことで、楽になっていくのだと考えています。
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当時の自分に助言が出来るとしたら
もし、大学時代の自分に助言が出来るとしたら。医者に頼るりすぎるな、と伝えます。医師は患者のサポーターであり、自らが内面と向き合い、自分に嘘をつかずに等身大の自分を受け入れ、そんな自分をあなた自身が大切にするように、と。人に嫌われるのが怖くて仕方がなかった自分に、無理をしないで、いい人であろうとするな、と伝えます。誰かの評価を貰うために自分という存在がいるわけではないのですから。
人は親・教師など様々な人から多くの教えを提示され、多くの様々な先入観を持ちます。積み上げられた積み木を、強制的ではありますが、壊して積みなおす時期なのです。ある出来事や思い出などの経験を1つの積み木だと考えてみてください。1つの積み木には面が6面あります。捉え方を変え、見える面を変える必要がある積み木もあるんだと思います。
触れたくない積み木もあると思います。まだ触れると辛い感情が残っているものもあるかも知れません。残っていてもいいと思います。それは貴方が判断することです。
ありのままの自分を、あなたが受け入れ、愛せるようになるための時期です。他の誰でもない、あなた自身があなたを大切にできるように。
参加しています
ちょっと一息:老子から学ぶ
江戸からの知恵
江戸時代、庶民は「孔子の論語」と「老子」の2冊を持ち、アクセルを踏んで突き進む時には「論語」、流れに身を任せる必要があるときには「老子」を読んでいたそうです。今は自分を立て直すとき、そんな時は老子の教えが役に立つかもしれません。
老子は道(タオ)という「見ることのできない、漠然とした大きな流れのようなもの」の存在を説明しています。自分ではどうしようもない出来事が生じた場合、その大きなものの流れに乗り、逆らうことなく(状況に足掻いて、逆らおうとしても無駄に体力と気力を失い、時間を費やしてしまいます。)、身を任せることの大切さについて説いています。
病に倒れ、倒れたことを後悔しても仕方がありません。その状況になったからこそ 学べる何かがあるのでしょう。皆が皆、同じ人生や価値観を持って生きていたら、新しい考え方、新しい生き方、新しい何かが作り出されることはないのかも知れません。
老子は「あるがままの自分であることの大切さ」についても説いています。
老子・岬龍一郎 訳
22章(一部抜粋)
何事も無理をしてはいけないよ。つま先立って、長く立っていられるかい?大股で人を追い越して行っても、それで長続きするかい?無理をして自分を誇示して見せても、それは一時的なことで長続きはしないだろう。何事もあるがままでいいんだよ。
ちょこっと、老子の言葉を引用して書き直しました。よろしければどうぞ。
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〈参考図書〉
:老子の教えには「水のように自由自在に形を変えて、柔らかいものが一番強く、岩をも動かす」みたいな思想が多いです。頑張りすぎてしまっている人に、深呼吸させてくれると思います。
参加しています
書くことのススメ(自分を知ろう):うつ病 リハビリワーク③
どんな状況・環境のときに、どういう気分になってしまうのか、を知る
うつ病のリハビリワークで最も重要なワークになってきます。自分の内面と行動に向き合う、それはとても難しいことです。知りたくないと思っている、自分の本心に向き合わなくてはいけないから。
病院に行って、医師やカウンセラーとの対話で行うのも一つの方法ですが、あなた自身があなたの内面と対話しなくてはいけません。思考を可視化することで、客観視しやうくなり、自分と向き合うことが容易になります。そして、自分の手で書きましょう。
多くのウェブページで「行動認知」「認知療法」について記載されています。参考にしてください。
モーニング・ページのススメ (本当におすすめ)
しかし、体調がよくない時ほど自分の状況を冷静に把握するのは難しいですよね。そんな時に比較的簡単に出来るおススメの認知療法のワークを紹介します。メンタルコントロールをしやすいので、是非とも試してみてください。
脚本家であるジュリア・キャメロンさんが思考の整理をしながら、作品を作り出す際に取り組んでいく為のワーク法が書かれています。その中のワークの一つである、モーニング・ページというワークを紹介します。
この本を読む前に、下記リンク先の光奈広大さんのブログで紹介されていたのをきっかけに、私はモーニング・ページのワークをするようになりました。思考の整理がしやすくなり、感情面での落ち着きを取り戻しました。そして非常に体調のコントロールがしやすくなりました。
怒りブログ、嘆きブログ、悲しみブログ | 自由人の カルマ・ヨガ ノート :special thanks
- 好きなノート、ペンを用意する
- 頭の中を駆け巡る思考・言葉を「そのまま」書く
- 2・3ページは書く(スッキリするまで)
- ありのままを書く(誰かに見せるものではないので)
- 可能ならば、朝起きた時に
- 書きたいときに「いつでも」書く
- 毎日続ける(可能なら)
- 読み返すのは数週間後
書き方に制限はありません。
詩でも、会話でも、そのときの感情でも、将来の夢でもなんでもいいのです。もちろん、過去の怒りでも。
散らかってしまった部屋と同じように、あなたの思考は暴走し、頭の中は言葉でいっぱいだったと思います。出てくるままに、ノートに言葉を出してあげてください。頭が空っぽになるまで。
そして書いたものを見直すのは数週間後です。自分を見つめなおすには距離が必要です。
書くという行為は書き手のためになり、あなたが読み手になれば、更にあなたのためになるのかもしれませんね。誰かに見せるものではなくても、もっともっと自分を表現してください。
私は「他人に見せていた、自分では気が付いていない部分の自分」を知ることが出来ました。私は本当に反省しましたし、傷ついて叫んでいた内部の自分(インナー・チャイルド、アダルトチルドレン(ACは状態のことを指すことが多いですが)など様々な表現方法があります)を受け止めるのは容易ではありませんでした。
写真は広島県尾道にある、お好み焼き屋さんの壁に描かれていたもの。近所のお兄さんの作品らしい。兄さん、うまいぜ!
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〈参考図書〉
:キャメロンさんなりの考えなども記載されていますが、先ずはノートを用意してください。何かを始める時にちょっと追い風のような言葉が必要だと思ったら、この本に記載されているキャメロンさんの言葉に励まされるのもいいと思います。
参加しています